Barbarian 野蛮人
社会集団はしばしば自分たちと部外者との違いを強調することで自分たちの結束を主張する。
古代ギリシアにおいては主にポリスの一員であることが強調されたが、その文学においてはギリシア人共通のアイデンティティをもとに、対照的な「野蛮人」を作り出すことも重要であった。この対比はアルカイック期には見られなかったが、紀元前6世紀半ば小アジア西部をペルシアが支配するようになり、ペルシアに対する武力抵抗が成功したこと、そしてペルシアに対する抵抗を続けるために団結したこと、そしてアテナイにギリシア人以外の奴隷が現れたことで重要視されるようになったと思われる。
アテナイ文学においてそのイメージは、言語能力の欠如、道徳的責任の不在、統制の欠如と結びついていた。
ヘレニズム期以降この区別は重要ではなかったが、一部のギリシア文学にとってはギリシアが軍事的・政治的に無力であったことを補うために支持されていたようだ。