哲学者カント(2)
俺の名は不動一者。
謎の男にサロンに連れられ巻き毛になってしまったが、髪の毛がどうなろうと哲学はできる。
今日は休日、人もまばらなカフェでお茶を片手にふと外を見ると、黒ずくめの男たちが白い粉の入った小さな袋を手渡ししている。これは事件の香りがするぜ!!!
……
まてよ、俺はなぜそのように認識したのだろうか。
光が俺の目に入り像を結んだことは理解できる。
ただ例えばデジタルカメラで撮った画像をパソコンに保存したところで、パソコン自身はそこに意味は見て取れないだろう。
では俺はなぜ認識できた?
いや、待てよ。「光が俺の目に入り像を結んだ」?
これはいったい何を言っているのだろう。根拠はあるのだろうか。
目をつぶっていても光を感じるし、夢でも光を感じることができる。では今見ているこの光景は夢ではないのか?
黒ずくめの男たちの姿はすでにそこにない。
先ほど見たと俺が認識したものは実際に存在したのだろうか。信じられるだろうか。白い袋、黒ずくめの男、お茶、信じられるもの……
そうか、わかったぞ!
信じられるのは己自身、信じられるかと疑っている俺自身は信じざるをえない!!!
わかっちまったぜ、この事件の謎が!!!!!
(♬~)