2021-01-01から1年間の記事一覧
古代ギリシアやローマにおけるエリート層は、宗教的な祭儀や家庭的な祝儀、シンポジウムなどに関する文献などからその存在を読み取れる。 どのような「貴族」も国政とのつながりなくしては永続できず、むしろ国政との関わりがパワーエリートを生み出し、その…
この語は現在、暗黒時代に力を得た貴族による支配をあらわすようになっているが、古代ギリシア語においてこの語は紀元前5世紀より前には見られず、民主制との対比としてあらわれたと考えられている。 プラトンは政治制度を君主制、寡頭制、民主制に分けた際…
この語は公職の役職者に対する一般的なギリシア語であるが、特定の公職に対して使われることが多かった。 アテナイにおいては元々世襲的であった王としての権力が、宗教的な儀式を司るバシレウスと、市民の長としての筆頭アルコンと、兵を率いるポレマルコス…
アルカイック期ギリシアにおいて文書は少なく、法律などの公文書が残されるのみであった。このような公文書は神殿に収容されるようになり、アテナイにおけるメトロンもこれにあたった。 文書は石、木製のタブレット、パピルスなどに記された。 ヘレニズム時…
古代ギリシア建築は紀元前6~7世紀に発展したと言える。 古くはレンガと木材による単純な小屋から始まり、石造りの基礎に木製の柱を並べた神殿が作られ、そしておそらくエジプトの採石と加工の技術を取り入れることでドーリア式またはイオニア式を採用した石…
古代ギリシアにおける建築家の名前は碑文だけでなく文学的な情報源にも見ることができる。(一方、古代ローマにおける建築家は匿名が多い) 建築家は詳細と言わないまでもデザインを用意し、承認のために仕様をすり合わせ、必要な物資を計算する必要があった…
古代ギリシア建築において、入口は水平な梁によるものだった。 アーチ状の構造は紀元前4世紀半ばのマケドニアにおける墓に初めて見られ、ヘレニズム期によく見られるようになった。 アーチと言えばイタリアのエトルリア人を思い起こすが、これも上記のように…
単弓や複合弓は青銅器時代のギリシアでも知られており、矢じりもフリント石から青銅まで使われていたようだ。 イリアスにおいて弓に関する記述は少なく、弓兵の扱いを反映していると思われる。(オデュッセイアにおいてはオデュッセウスが強弓をみごとに張り…
樹木の栽培。 前1000年紀には果樹の栽培が地中海の東から西に広がった。この広がりは古代ギリシアの経済的基礎を形作り、食事をより多様で栄養価の高いものにした。 樹木の中で重要なものは、オリーブ、ブドウ、イチジク、リンゴ、ナシ、プラム、ピスタチオ…
中立的な人物が紛争を解決することは、古代ギリシアの早い段階から一般的であった。 多くの都市では公的な仲裁人がいたと思われるが、よく知られているアテナイにおける例では、民間の仲裁人が間を取り持つこともあった。 アテナイでは10部族のそれぞれから4…
地中海性気候においては、水源を管理して雨による増水を防ぐことが農業を変革することにつながった。 地元の泉や井戸による供給量を超えて水を利用することで乾燥した夏を通して農業を行うことができ、また冬の豪雨に対してはその被害を避けることができた。…
神々への捧げものとしてのファーストフルーツ。 この概念は自然から文化への第一歩であり、ファーストである者のためにファーストを捧げるというものである。これは焼くことで捧げられるだけではなく、神聖な場所に保存されたり、水に沈められたりもした。 …
今日における人類学という言葉では齟齬があるかもしれないが、古代ギリシアにおける人あるいは社会のアイデンティティや歴史に関する思想は存在した。 古代ギリシア人は古代ギリシア語を話せない話者をバーバリアンと呼び、また古代エジプト人の習慣を自らと…
ギリシア宗教では動物と神の間に関係性がある。アテナは特にフクロウと関係し、ディオニュソスは雄牛と呼ばれることがあった。また神が動物に姿を変えることもよくあった。また、鳥の行動が前兆を示すと信じられ、蛇が神聖な動物とみなされるといった例もあ…
動物は、その文化にとっての自然を映す鏡であるとされる。 古代において動物は倫理的であったと同時に、芸術的あるいは医学的な対象であったという考古学的証拠がある。ヘロドトスによるアリオンの話ではイルカがその知性と思いやりを見せており、プルタルコ…
動物への態度は、すでに紀元前5~6世紀には哲学者たちの議論の的になっていた。 ピタゴラスやエンペドクレスは動物の殺害や虐待行為を批判したが、宗教的な犠牲と肉食の間の関係から、菜食主義となることは困難であった。また、ヘシオドスやプラトンが著書の…
天使、あるいは"メッセンジャー" ヘルメスはゼウスのメッセンジャーと認識されており、Angelosと名付けられた。アイリスも同じような役割を与えられ、ヘカテーは下界や死者と交信したため天使と言える。 紀元後3世紀になると天使はユダヤ教やキリスト教で大…
古代ギリシアにおいて身体の構成要素、形態、位置、性質、機能そして相互作用を知ろうとすることには抽象的な考察も含まれており、魂の在り処に関するものも含まれていた。これら考察を行った者たちは関心の範囲も広く、例えば初期の自然科学においては宇宙…
お守りは魔術、病気、邪視、事故、強盗など様々な厄から身を守るために身に着けられる、魔力を宿した道具である。これはまた、愛や富、権力や勝利を得るためにも用いられた。家や壁、街もまたこれらを飾ることで守られていた。 お守りの素材としては石から金…
アンフォラは最も広い用途で長く使われたポットであり、両手持ちで、サイズや形状、装飾は様々であった。 初期のアンフォラにはおそらくオイルが満たされていたが、ワインが主要な商品になり、ピッチや干物に至るまで多くの商品の保管と輸送に使用されるよう…
亡命者を呼び戻すことを提案、あるいは要求することは古代ギリシアにおいては一般的であったが、亡命者が没収された財産を取り戻そうとすることで更なる争いが引き起こされることがよくあった。 ただし、このような呼び戻しは一般的に国家の法で形式的に定め…
アンブロシアとネクターは永遠の命と結びついた食べ物と飲み物である。従って伝統的な物語が語るように、これは神々のものであった。 ヘラクレスはアテナによって不滅の魂を提供されたが、テュデウスは敵の脳をむさぼる様をアテナに見咎められ、同じ恩恵は得…
琥珀は北ヨーロッパで広く自然に分布しており、シチリア島でも見つかる。知られる限り、古典期地中海地域における琥珀はバルト海のものであり、これらはウガリットやアララハ、イタリア北部でも発見されている。 古代ギリシアにおいて、琥珀はミケーネの墳墓…
祭壇は、古代の宗教においては犠牲を捧げるために欠かせないものであった。 古代ギリシアにおける祭壇の主流は、神に捧げる犠牲を焼くために薪の火を灯せるものである。対照的に、英雄信仰では犠牲の血を流すことをその用途とし、また家庭ではこのような血な…
古代ギリシアでは幾つかのアルファベット体系が使われたが、そのどれもが紀元前8世紀以前のフェニキア文字体系に起因するものだった。文字体系が古代ギリシアに取り入れられる際に起こった注目すべき事態は、母音の独立した表現が追加されたことであった。 …
共通の敵と戦うための国家間の合意、それが同盟であった。 期限が定められているもの、いないもの、構成員が平等であるもの、そうではないものと様々だった。ツキディデスは防衛同盟と攻撃を含む同盟を区別したが、この用語は広く使われはしなかった。 共通…
寓話の要素はギリシア文学の初期からその存在が認められる。 ヘシオドスによるネメシス(復讐)やディケ(正義)の擬人化やソフィストによる寓話、プラトンもあるいは有害なものとして扱うこともあったが、寓話を用いた。 寓話を肯定的にとらえて利用したの…
古代ギリシアにおけるアルコール飲料といえばワインであり、マケドニア人を除いて通常は水で希釈されていた。ブランデーやウイスキーといった蒸留酒は発明されておらず、ビールは野蛮人のものとされた。 アルコール依存症の概念はなかったが、ホメロスはドラ…
古代ギリシアにおける農業は、現代の地中海におけるその栽培種と技術を共有していた。 主に秋に播種され、春までの降雨量に依存する大麦と小麦が古代ギリシアを支えていた(土壌の条件的に、栄養価が低いが育ちやすい大麦の方が広く栽培されていた)。土地の…
古代ギリシアの農業技術は単純だった。 種を蒔いたり、雑草を除いたり、水分を浸透させるための基本となる鋤き返しは単純な鋤や鍬、つるはしで行われていた。穀物は湾曲した鎌で刈り取られ、ブドウもオリーブも同じような道具で剪定された。 石材の上で穀物…