あらかたひとりのブログ

のんびりひとり暮らししています。

2022-01-01から1年間の記事一覧

Catoptirics 反射光学

光学の内、反射による像に関する幾何学的な理論。 紀元前4世紀には、光線が入射角と等しい角度で反射するという基本原理が知られていた。紀元前3世紀には平面鏡や凸面鏡、凹面鏡における像に関する理論が、疑問は持たれているもののユークリッドの名で提唱さ…

Caryatides カリアティデス

ドレープをもつ女性像の彫られた柱を意味するギリシア語。(男性像の場合はアトランティデス) ラコニアのカリアエで処女たちがアルテミス・カリアティスのために踊っていたことから名付けられたと思われる。近東に起源をもち、紀元前550年ごろギリシアに現…

Career キャリア

公的なキャリア制度なるものは、古代ギリシア語圏のほぼ全域で社会的あるいは政治的な配慮から構築されなかった。(一方、古代ローマにおいては名誉のキャリアコース cursus honorum が存在した) スパルタ軍に指揮系統はあったが実力や選挙によるものではな…

Capitalism 資本主義

この語はイデオロギー的な見方に侵されている。 マルクス主義の伝統に則っている経済学者や歴史家にとってこの語は、事業間の競争と市場における価格決定をよしとする生産様式と精神性によって価値、利益、合理性が決められてしまう社会を意味している。その…

Canon 規範

古代ギリシア語の kanon 、棒という言葉は規則や基準といった意味で使われていた。 この言葉は後にキリスト教信者によって聖書の正典、公会議で受容された基準を意味するようになったが、当時はそのような意味はなかった。 アレクサンドリアの学者やローマ人…

Cannibalism カニバリズム

カニバリズムは、古代ギリシアにおいてほとんど発生しなかったが、想像しうる中でも最大の不浄行為のひとつであった。 ポティダイアの戦いにおいて発生したとツキディデスは報告するが、あくまで敵側の描写であった。 考古学的には、ミノア文明期のクノッソ…

Canals 運河

排水路や灌漑用水路は古代から広く使われていた。 最も古いものはイラクでは紀元前6000年紀にさかのぼり、エジプトでは紀元前4000年紀にさかのぼる。メソポタミアやエジプトでは灌漑用水路の利用が増加したが、長距離にわたる直線的な水路は紀元前1000年紀に…

Cameos カメオ

瑪瑙や貝殻、ガラスなどに浮彫を施したもの。指輪やペンダント、銘板などに使われた。ヘレニズム時代から始まりローマ時代に最盛期を迎えた。肖像画の手段として好まれた。

Camels ラクダ

アラビアや近隣で家畜化されていたラクダは紀元前546年のアナトリアでは珍しいものだったようで、ヘロドトスはキュロスのラクダがリュディアの馬を怖れさせたとしている。ヒトコブラクダはより一般的に知られていたため、このラクダはフタコブラクダであった…

Calender 暦

古代ギリシアには単一の暦は存在しなかった。ほとんどの共同体は独自の暦を持っており、月の名前や新年の日も異なっていた。ただし少なくともどれもが太陰暦であった。月の名前は祭りや祀られる神々に由来し、例えばマケドニアにおけるディオスやアルテミシ…

Cakes ケーキ

小麦粉を原料とする菓子パン。 古代ギリシア語やラテン語では様々な名前がつけられていた。その多くは贅沢品で、特別な食事のメインコースの後にフルーツとともに食べられた。またケーキは神への捧げものとして一般的に使われており、関連する神々によって形…

猫のいる生活 ~一年目

猫を飼い始めて一年以上が経過した。 飼いはじめて一年の記録を残しておこう。(実際は一年を優に超えているが) まず、猫あるあるというものがよくわかってきた。 自分勝手 しつけ易いか、忠誠心はあるか、という意味では確かにそうではない。 「してはいけ…

Byssus ビュッソス

著しく細い繊維で、通常植物由来のもの。 アイスキュロスはこの繊維の上質なチュニックについて言及しており、文脈上亜麻布(リネン)であると考えられている。またヘロドトスが記したミイラの包帯もこの繊維であり、これも亜麻布と考えられている。 しかし…

Building materials 建築資材

古代ギリシア建築の発展は、主に石灰岩を加工して積み上げることに基礎をおいていたと言える。 入手できるのであれば白い大理石が最もよい建築物に使われ、色のついた大理石は青銅器時代後期を過ぎては使われなかった。輸送には費用が掛かるため、経済的には…

Bronze 青銅

青銅は銅と錫の合金であり、銅より硬く融点が低い。 古代においては銅も青銅も単語上区別されていなかった。紀元前3000年より前のエジプトやメソポタミアで青銅の器具が見つかっており、ミノア時代には銅9:錫1の比率が一般的となった。鉄が使われるようにな…

Brigandage 山賊行為

非合法な、個人的な暴力で土地から略奪すること。これは古典期のギリシアにおいては必ずしも非難されることではなかった。一部のコミュニティでは古代からの慣習で、立派な職業として存続していた。 紀元前3世紀以降、ギリシア中央部では山賊や海賊といった…

Bridge 橋

アルゴリスには青銅器時代の道路網の一部として、橋の遺跡が残されている。一部の橋には横長の石を積み上げた「アーチ」を持つ水路があり、このタイプは古典期にも見られている。木造の橋は早くから造られていたが、石造りの橋は紀元前5世紀ころから知られ出…

Bribery 贈収賄

ギリシア語の贈収賄に関わる語彙の多くは中立的であるが、「贈り物を飲み込む」といった蔑称がヘシオドスの頃からすでに見られる。悲劇作品では例えばテイレシアスのような占い師が贈収賄で告発されているし、トゥキディデスは作品内でペリクレスに贈収賄し…

Breast-feeding 授乳

授乳は献身の証であり、一部の哲学者によれば善良な女性の義務であった。 授乳は母親の子供への愛着を増し、子供は与えられた母乳に影響されると知られていた。母乳を与えようとしない母親は怠惰や無関心であるとして非難されることもあったかもしれないが、…

Boxing ボクシング

古代ギリシアやローマにおけるボクシングには体重別階級がなかったため、体重がある方が有利であった。 ギリシアにおいては拳や手首を革紐で巻いていたが、これは保護のためと考えられている。ときに拳に巻き付けず指が使えることもあったようだが、パンクラ…

Boule ブーレ

国家の行政に責任を持つ評議会。 その構成員や権限は政権により異なり、例えばホメロスの語る世界においては王に助言を与えるための貴族の会議を意味した。寡頭制においては参加資格が制限され民会より強くなりがちで、民主制においては参加資格が広がり民会…

Botany 植物学

古代ギリシアやローマでは植物とその生長についてよく知られており、油や香水、薬草の知識も豊富であった。正確な命名法はなかったが、地元の人々は穀類や野菜に限らずドクニンジンやマンドレイク、ケシなどについて理解し利用していた。 ミケーネ時代におい…

Booty 略奪

クセノフォンはその著作(キュロスの教育)に次のように記している:「戦争で都市が占領された場合、その住民と財産は占領者のものである、という概念はあらゆる時代あらゆる者により認められた法である」。 古代における戦利品は貴金属などの動産や無生物だ…

Books 書物

筆記は、紀元前3000年紀にはメソポタミアやエジプトで管理のために利用されていた。その媒体は前者では粘土板が、後者ではパピルスが使われた。 パピルスの原料は下エジプト特にナイル川デルタで育つカミガヤツリで、三角形の断面の茎をスライスして平面的に…

Body 身体

身体というものは、古代ギリシアおよびその後のキリスト教的世界観においては劣位なものとされてきた。自然の摂理として、主人が奴隷を支配し、男が女を支配するように、魂は肉体を支配すべきとされた。 現代の身体に関する知識との違いについては医学書に見…

Birthday 誕生日

古代ギリシアにおいては、主要な神々の誕生日は新月を1日目とした月齢に関係づけられ神聖視された。 例えば6日目がアルテミス、7日目がアポロン、8日目がポセイドンといったように、これら毎月の誕生日は古代ギリシアの歴史を通じて意識され続けたが、一方、…

Birds, sacred 神聖な鳥

古代ギリシアや古代ローマでは鳥そのものを神聖視することはなかったが、鳥も他の動物同様神々と密接に関係しており、吉兆を伝えることができるとされていた。これら吉兆に関する記述はホメロスや数々の悲劇作品などに残されており、飼われている動物でも占…

Biography 伝記

古代における伝記は確立されたジャンルではなかった。 人生(bios)あるいは生活(bioi)が指すものは幅広く、クセノフォンの伝記小説「キュロスの教育」やアレクサンダー大王の伝記、プルタルコスの「英雄伝」なども含まれていた。個人の経験を中心とした文…

Bilingualism 二言語主義

二言語主義は古代世界におけるひとつの特徴であった。 公用語と大衆語といった形や地域別の言語といった形で存在したが、二言語を使う完璧な能力はおそらく稀であると同時に不必要なものであり、また言語と国家の同一性は比較的重要ではなかったようだ。その…

Betrothal 婚約

古代ギリシアにおいて婚約とは二人の男性の間の契約だった。二人の男性とは花婿と花嫁の父またはその代理人のことを言い、この二者間で婚約が成立された。 古典時代のアテナイでは口頭で定型的に交わされており、子供の嫡出性の保証や持参金に関する合意を伴…