あらかたひとりのブログ

のんびりひとり暮らししています。

神の苦悩

その昔、神はただのんびりと過ごしていればよかった。

 

人は自らの力が及ばない事象に畏怖を感じ、また自らの願いが現実に何かをもたらすと信じ、そこに神を見ていた。

 

時代が下ると、神は大地を生み出したり、よくわからない冥府を治めたり、雷を武器にしたり、芸術をつかさどったり、いろいろな役目を任されるようになった。かまどを見守ったり、引きこもったりすることなどは生易しいもので、あちこちで引き起こされる戦争に引っ張り出されるのはうんざりするものであった。

 

さらに時代が下ると、より剣呑なことになってきた。天体の運行を司り、この世の原子、あまつさえエーテルとかプネウマとかいう物質までも管理しなくてはならなくなった。亡くなった人々を復活させなければいけないとも言う! 人によっては神の負担を減らそうとしてくれたが、多くは神に多くを求め、しまいにはあらゆること、あらゆるものの内に神は存在しなければならないことになった。すわ経済活動全てを見通さなければいけないのかと肝を冷やしたこともあったが、これは単純な比喩と判りほっと胸をなでおろしたこともあった。

 

近年、科学の興隆と不可知論者や無神論者のおかげで負担は少なくなってきたが、予断を許さない状況にある。

 

神の苦悩は続く。