対猫戦線
猫を飼い始めて2か月以上経過したが、対猫戦線は後退を余儀なくされている。
最初のころは床を歩き回るだけで、はて子猫だから飛び上がらないのかと勘違いしていたのだが、慣れてくるとまずソファの上が占拠されることになった。
正直な話、ソファの上に飛び乗ることは想定していた。
こちらが想定していた戦線は、パソコンなどが配置されているデスク、そしてキッチンである。
デスクにはパソコンがあるため、猫の侵略によるキーボードやマウスへの被害が想定される。ネット上には、コロナ禍を受けてリモートワークが広がったことも手伝い、これでもかというくらいパソコン作業を邪魔する猫が確認されている。キーボードの上を歩きファイルを保存できなかった者、キーボードの上で寝ころばれて作業する意思を挫かれた者、猫がデスクに乗ることによる被害のほどは計り知れない。
それだけではなく、このデスクで食事をしているので、猫の侵略を受ければ落ち着いて食事ができない事態に陥ってしまうのだ。
もちろん、こちらがパソコン作業をしていると膝の上に乗り、そのままデスクの上に乗るということは日常茶飯事だった。デスクの上に乗ってほしくないときは、なるべくデスクに近づき、膝からデスクへの経路を閉鎖してしまうのだ。この対処は猫によく効き、恨めしそうににゃあなどと鳴くしかできないのだった。
ところがある日、猫は迂回路を見つけ出した。自分の脚力に任せてデスク上に直接降下するのだ。これをやられるともはやデスクは猫に蹂躙されるままとなる。デスクの上に乗っている小物はすべて無慈悲な一撃で(いや、本当は何度もちょいちょいと動かした末なのだが)床に落とされることになった。ちょっとしたフェイクグリーンなど倒さずにいられないらしい。もちろんキーボードやマウスにも被害は及び、特にキーボードはことあるごとに占拠される憂き目にあう。それでも何とか戦線持ちこたえられるのではないかという希望をもって、あえてデスク上で食事をしてみたが、何度追い払ってもしつこくやってくる波状攻撃には正直なすすべがなかった。
対猫戦線、デスク防衛は失敗、キッチンへ退却である。