お仕事頑張ってね

マスクしていると眼鏡が曇る。

いや、常時でもないんだな。眼鏡している人ならわかることだと思うのだけれど、駅まで歩くとかそういった時に曇ってしまうのだ。

正直これには耐えられず、マスクをつけるという習慣と並行して外を歩く際は眼鏡を外すという習慣も身に着けたのだが、まあ眼鏡をかけているくらいなので当然視界はぼやけることになる。度数がマイナス6付近なので正直少し怖いくらいだ。

何かと色と動きで物を判別することになるので、背景と似た色の服を着ていてあまり動かないと十分近づくまで気が付かない。あと遠近感がつかめないし、夜間は光の方が強く感じられるので暗がりを見落とすことになる。たとえフェイスハガーがトコトコ歩いていても、猫か何かと勘違いしてしまうだろう。

ある日スーツを着て出勤したのだが、例によって眼鏡をはずして歩いていた。

信号が赤になり、横断歩道で待っている。同じく横断歩道で待っている親子。散歩中かな？白や灰色の車が横切っていき、さて赤色が緑色の光に変わったのが見えたので歩き出すと、ふと「お仕事頑張ってね」という声が聞こえた。

思わずだったし眼鏡をかけておらず確認できなかったためリアクションできなかったが、どうだったのだろう。あの子がスーツ姿のひとがたを見て、なんとはなしに言ったのだろうか。一緒にいた親はスーツっぽくなかったのだけど、いや、父親か母親かもわからなかったんだけど、父親か母親もスーツを着てお仕事頑張っているのだろうか。

というわけで自分に向けられた言葉かもわからないが、何だか元気づけられる言葉だった。うーん、リアクションできればよかったな。ちょっと後悔。